現在の台北を描いたのは、エドワード・ヤン以来だ。
─ ホウ・シャオシェン

NEWS

・2019年5月4日(土)〜「東京 ユーロスペース」での再公開が決定いたしました。

・2019年4月13日(土)〜「大阪 シアターセブン」での公開が決定いたしました。

・2019年5月4日(土)〜「神戸 元町映画館」での公開が決定いたしました。

・2019年4月6日(土)〜「千葉 キネマ旬報シアター」での公開が決定いたしました。

・2019年3月2日(土)〜「京都 出町座」での公開が決定いたしました。

・2019年2月2日(土)〜「長野 上田映劇」での公開が決定いたしました。


エドワード・ヤンとの近親性を強く感じさせる。
鮮烈に表象される台湾新世代の感覚。

 現代台北の風景に徹底してこだわり、そこに生きる若者たちを現在形で描きだす。新鋭ホアン・シー監督の「台北暮色」は、ホウ・シャオシェンによってプロデュースされ、ホウ監督の後期作品でしばしばカメラを担ってきたヤオ・ホンイーが撮影監督を務めているとはいえ、その視野はむしろエドワード・ヤンとの近親性を強く感じさせる。「台北ストーリー」はもちろんのこと、電話というコミュニケーション手段の意外な活用がきっかけとなってドラマが発展していくさまは「恐怖分子」を思い出す人も多いだろう。
 ただ、台北やそこに生息する者たちを時に突き放すような視線で批評的に照射したエドワード・ヤンと較べると、ホアン・シーのこのデビュー作で際立つのは、既に高度経済成長期を終えてしまったこの街とそこで生きていくしかない若者たちに対する、愛と慈しみと叙情に満ちた視線だ。既に暮れてしまった存在への、その寄り添うような姿勢に、台湾新世代の感覚が鮮烈に表象されている。

暉峻創三(映画評論家)

INTRODUCTION

イントロダクション

侯孝賢ホウ・シャオシェン
×
楊德昌エドワード・ヤン
名匠ふたりを継ぐ<台湾NEXT BLOOD>
女性監督 黃熙 ホアン・シー 美しい第1作

ホウ・シャオシェンは言った。「台北の現在の姿を描けたのは、『台北ストーリー』のエドワード・ヤン以来だ」と。ホウ・シャオシェンの現場で映画を学んできた女性監督、ホアン・シーのデビュー作品。その映画遺伝子は、今回製作総指揮を務めたホウ・シャオシェン譲り。その一方で、「カップルズ」のクー・ユールンが主演のひとりを務めるなど、エドワード・ヤンとの繋がりも見える。我々はそこにホウ・シャオシェンの映像を見るが、ホウは「その資質は自分ではなく、ヤンに近い」と発言している。ホウ・シャオシェン×エドワード・ヤン。1980年代からの台湾映画を支えたふたりの遺伝子を継いだ、<台湾NEXT BLOOD>が生まれ出た。引き付けられる、目が離せないカットの数々。台北の街、路地、鉄道、道路、そこに降る雨、そこにある水たまり、その美しさ。そこに生きる人、家族、その強さ。もろくも孤独な魂たちが、美しく、強く結ばれるとき。

STORY

ストーリー

反射する暮色の街〈台北〉に、
いま、生きている。女と、男と、少年──

車で生活する中年の男。人と混じり合えない少年。「ジョニーはそこにいますか?」という間違い電話を何度も受ける独り暮らしの女。そんな3人が孤独の中、出逢い、また、新しい未来が見えてきたとき、彼女の思いがけない過去が明らかになっていく ──。台北の<暮色>。物語のクライマックス、そこに、何を見るのか ──。

STAFF

ホウ・シャオシェンとホアン・シー

「ホアン・シーの資質は自分よりも、エドワード・ヤンに近い。
私に照らせば、『台北暮色』は、彼女の『童年往時』だ」

ホウ・シャオシェン 侯孝賢

PRODUCER
ホウ・シャオシェン 侯孝賢

1947年、中国・広東省梅県に生まれ、翌年家族とともに台湾に移住。1972年に国立台湾芸術大学映画・演劇科を卒業後、映画界入り。1980年に「ステキな彼女」で監督デビュー。「川の流れに草は青々」(82)が批評家たちに絶賛され“台湾ニューウェーブ”の代表的存在に。「風櫃の少年」(83)、「冬冬の夏休み」(84)が2年連続でナント三大陸映画祭グランプリで「金の気球賞グランプリ」を受賞、世界に知られる存在となっていった。その後も「童年往時 時の流れ」(85)がベルリン国際映画祭で「国際批評家連盟賞」を、「恋恋風塵」(87)がナント三大陸映画祭最優秀撮影賞・編集賞を受賞。1989年「悲情城市」でヴェネチア国際映画祭「金獅子賞」を受賞という快挙を実現する。その後、「戯夢人生」(93)でカンヌ国際映画祭「審査員賞」を受賞。2015年「黒衣の刺客」でカンヌ国際映画祭「監督賞」受賞。

「台北は皆にとって身近すぎる存在ですから、撮るのはとても難しいと思います。以前にはエドワード・ヤン監督だけが成功していました。彼の『台北ストーリー』以来、これほどまでに台北の家庭を上手に描いた作品は見たことがありません。私に照らして考えれば、この作品は彼女にとっての『童年往事 時の流れ』であると思います」

フィルモグラフィ

ホアン・シー 黃熙

DIRECTOR
ホアン・シー 黃熙

1975年、台北市に生まれる。ニューヨーク大学在学中にホウ・シャオシェン監督の「憂鬱な楽園」にインターンとして参加。2001年に帰国後は宣伝広告業界で働き、ホウ・シャオシェンの「黒衣の刺客」、テレビ用の短編映画「House」の製作に関わった。「台北暮色」が監督デビュー作品となる。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンを継ぐ注目の女性監督。

「(ホウ・シャオシェンが)直接作品に対して何かアドバイスを下さったことは殆どありません。一つめのバージョンを見て頂いた時に「もう少し編集した方が良い」と言われ、2回目はOK、終始このような感じでした。しかし、私は幼い頃から家族の関係でずっと監督と接してきましたから、監督から受けた影響はこの作品のとても深いところにあると思います」

CAST

リマ・ジタン(シュー)
瑞瑪·席丹

1990年5月1日生。レバノン人の父と台湾人の母を持つ。レバノン出身、台湾育ち。幼い頃から様々な文化環境での生活経験がある。中国語、フランス語、英語など数ヵ国語が堪能。16歳でモデルとしてデビュー。MVやCM出演を経て、旅行番組のMCとして活躍。2015年金鐘奨「旅行番組司会者賞」にノミネートされる。「台北暮色」が初の長編映画出演。この映画での演技が高く評価され、台北映画祭及び金馬奨で「最優秀新人賞」を受賞。音楽創作活動も精力的に行っている。語学、トレーニング、スポーツ、旅行と様々な事に積極的に挑戦、自分らしく全力で取り組む姿をSNSで発信し多くのファンの支持を得ている。18歳の頃に深刻な事故を経験、心身ともに大きな傷を負ったが、常に自分らしく様々なことに積極的に挑戦し、人々に前向きなメッセージを発信し続けている。

「監督はデビュー作で、私も新人ですし、この組み合わせも面白いのではないかなと思いました。もし私の今回のお芝居が良いと思って下さったなら、役柄と自分が70%程度似ているためだと思います。ラッキーでした。1度だけできる芝居だったと思います」


クー・ユールン(フォン)
柯宇綸

1977年04月28日生。台湾出身 。幼い頃から映画監督であり俳優の父の影響で映画製作現場に触れ、子役として数々の作品にゲスト出演。14歳の時に「牯嶺街少年殺人事件」(エドワード・ヤン監督)で正式に長編映画出演。「カップルズ」(エドワード・ヤン監督)で初主演。
その後もベテランの著名監督、新進気鋭の実力派監督の作品に数多く出演。2011年「ジャンプ!アシン」、台北映画祭で「最優秀助演男優賞」を受賞、同年の金馬奨でノミネート。2015年「念念」、台北映画祭「最優秀男優賞」、金馬奨「最優秀助演男優賞」ノミネート。「台北暮色」では台北映画祭で「最優秀男優賞」にノミネート。どんな役でも見事に演じる。演技力が高く評価されている実力派俳優。

「ホアン・シー監督の撮影方法はホウ・シャオシェン監督、エドワード・ヤン監督に似ていると思います。私はとても好きです。3名の監督のスタイルは、役者に自信を持たせ、自然にカメラの前に立てるようにしてくれる、最も心地よい撮影方法です」

フィルモグラフィ


ホアン・ユエン(リー)
黄遠

1991年6月19日 生。台湾出身。幼い頃からダンス、音楽、芸術表現など様々なパフォーマンスを学ぶ。2010年「酷馬」(王小棣監督)で映画デビューにして主演し、注目を集める。同年に出演したドラマ「他們在畢業的前一天爆炸」で金鐘獎「ミニドラマ主演男優賞」を受賞。2014年「寒蟬效應」で上海電影節「新人部門 最優秀主演男優賞」を受賞。「台北暮色」では台北映画祭「最優秀助演男優賞」を受賞。台湾の注目の実力派若手俳優。

「ただ普通の台本とは違うと思いました。普通の台本にあるものがない。まるで監督が書いた詩や小説を読んでいるようでした。役と自分が似ているものがあるとしたら、孤独を感じているところでしょうか。自分の孤独を、役の彼の孤独として、表現しました」

エンディング曲 Nulbarich

日本公開版のエンディング曲は、Nulbarichの新曲「Silent Wonderland」に決定。「すごくその世界に入り込めた」と語るボーカルJQが書き下ろしたエンディング曲に対し、ホアン・シー監督は「旋律からは暮色後の不思議な幻想的な感覚を感じます」と絶賛。なお、「Silent Wonderland」は、ニュー・アルバム「Blank Envelop」に収録されている。
Nulbarich「Silent Wonderland」バージョン トレーラー

JQコメント

「初めて映画を見た時に自分の今住んでいる東京に近い空気を感じた。そこにはたくさんの人の人生が無数に交差していて、それがたまにリンクし合って色んなストーリーが描かれていく。そんな刹那が描写されているようで自分もものすごくその世界に入り込めた気がします。素直に今自分が住んでいる環境に落とし込んで、かけたかなと思ってます。色んな感情が飛び交っていて満足いく曲になりました」

ホアン・シー監督コメント

「旋律からは暮色後の不思議な幻想的な感覚を感じます。映画には多くの余白がありますが、この曲が直感的な元気を補足してくれます。これは、暮色後のwonderlandです」


Nulbarich 「Silent Wonderland」は、現実と心の彼岸を繋ぐ物語

都会の喧噪が夕暮れの中に溶け、黒みのエンド・クレジットが夜のとばりのごとくにじんでいくとき、その歌はおもむろに立ち上がる。まるで音を忘れた人のために。まるで忘れた音を思いだそうとする人のために……。
 映画「台北暮色」は、静かな物語だ。静かな人間ドラマ。静かな心の交感。静かな葛藤と友愛。静かな終わりと始まり。どこまでも繊細に、音が見つめられている。デザインされている。まさに音を感じる映画体験。音を理解する最高の機会。
 Nulbarichは「音」に気づいている。「台北暮色」の静寂をわかっている。
 Stuck in Silent Wonderland. It’s like a Quiet Merry Go Round……
 それは音のないワンダーランド。まるで静かに回るメリーゴーラウンドのよう。そんな魅力ある世界から逃れることは難しい……。
 ことばにならない世界。ことばにできない風景。台北の街に感じた思いをNulbarichは最後に示してくれた。台北という現代に生きる人間の、どうしようもない心のさまよいを歌に昇華させてくれた。ボクらが言いたかった思いがここにある。ボクらが映画を通して見つけた自分自身がここにつむがれている。その優しさ、温かさ、寂しさ、美しさ。
 なんて大胆なのだろう。なんてまっすぐなのだろう。Nulbarichは映画の終幕を包む静寂を驚くほど直截に打ち破りながら、それでいてその感動を瑞々しく収斂させている。ボクらのどこか満たされずにいる日常の思いを鮮やかに音にして代弁してくれる。
 夕暮れにゆらめく台北の街の灯は、Nulbarichの歌=サウンドと重なって、いよいよその記憶の中でボクらを魅了して離さない。そこは音が豊かな世界。音が無駄にならない静寂の不思議の国。Nulbarichの歌だけが語ることができた現実と心の彼岸をつなぐ物語。
 音の、音楽の素晴らしさを教えてくれる響きがここにある。

賀来タクト(映画&映画音楽評論家)


「Blank Envelop」

[完全生産限定盤A]
CD+Remix CD+Blu-ray (LIVE+Documentary+Interview映像)
※特殊パッケージ仕様 VIZL-1519 ¥5,500+税
[完全生産限定盤B]
CD+Remix CD+DVD (LIVE+Documentary+Interview映像)
※特殊パッケージ仕様 VIZL-1520 ¥5,000+税
[通常盤]
CD Only VICL-65116 ¥2,800+税

Nulbarich

 シンガーソングライターJQがプロデュースするバンド。親交の深い仲間と共に、スタイル・シチュエーションなどに応じたベストなサウンドを創り出す。ファンク、アシッド・ジャズなどのブラックミュージックをベースに、ポップス、ロックなどにもインスパイアされたサウンドは、国内外のフィールドで唯一無二のグルーヴを奏でる。Nulbarich(ナルバリッチ)という名前には、Null(ゼロ、形なく限りなく無の状態)、but(しかし)、Rich(裕福、満たされている)から作られた造語であり、形あるものが全てではなく、形の無いもの(SOUL、思いやりや優しさ含めた全ての愛、思想、行動、感情)で満たされている「何も無いけど満たされている」という意味が込められている。
 「台北暮色」エンディング曲「Silent wonderland」を含むニュー・アルバム「Blank Envelop」をリリース、そのアルバムを提げて5都市のZepp公演を含む全国ツアー「Nulbarich ONE MAN TOUR2019  Blank Envelop」を開催する。

【ライブ情報】
Nulbarich ONE MAN TOUR2019  Blank Envelop

●スケジュール
2019年3月31日(日) 宮城・仙台PIT
2019年4月7日(日) 北海道・Zepp Sapporo
2019年4月10日(水) 大阪・Zepp Osaka Bayside
2019年4月13日(土) 広島・BLUE LIVE 広島
2019年4月17日(水) 愛知・Zepp Nagoya
2019年4月19日(金) 福岡・Zepp Fukuoka
2019年4月20日(土)香川・festhalle
2019年4月24日(水)・25日(木)東京・Zepp Tokyo
※3/31仙台、4/13広島、4/20香川公演は1Fスタンディングのみ

チケット一般発売:2019年1月26日(土)より
料金:1Fスタンディング:5,000円(税込) / 2F座席指定:6,000円(税込)
備考 *6歳以上チケット必要 / 6歳未満でお席が必要な場合はチケット必要

COMMENTS

三宅 唱 「きみの鳥はうたえる」監督

ホアン監督の映画でも“近すぎると喧嘩をしてしまう”と いうような距離についての台詞がありましたね。好きな台詞でした。もっとよかったのは、あの台詞がコンビニの前で語られていたということです。あのシーンが始まった瞬間に、これはいいシーンに違いないと思いました。人物の距離感も、それを撮っているカメラの距離感もすごくいい、素敵なシーンだなと感じました。

五十嵐耕平 「泳ぎすぎた夜」監督

鳥。「ジョニー」。高速。台北の街。家がない。子供。すべて記号として在る。言及はしない。配置されているだけなんです。普通の作劇は記号と記号が合わさったとき、何かを起こす。でも、ここでは何も起こさずに、関連性はそのまま。つまり、ずっと関係ないままなんです。それを前提に物語っている。それらの要素をひとつの塊にしたくないんでしょうね。

小橋めぐみ 女優

暮れなずむ街で、明滅する明かりの下で、水たまりが美しい地面の上で。台北は、こんなにも美しく、優しい街なのだと知る。日暮れは傷を優しく消毒し、人工の灯りは、微かに心を照らす。未来ではなく、今、この時を。心地よい距離感でもって。

相田冬二 映画批評家*「台北暮色」のレビューを5本書いた。

映画で見たことのある台北には違和感がある。現実には降り立ったこともないのに、わたしが「憶えている」台北とは完全にズレている。エドワード・ヤンが見つめる都市には憧れるが、超然としすぎている。ホウ・シャオシェンだって都会を描くが、やはりとりつくしまがない。ツァイ・ ミンリャンが捉えるこの街は、あまりに殺伐としすぎている。どれもこれも、わたしが脳裏に勝手にこしらえた台北とは似ても似つかない。訪れたこともないのに、なんでこんなことを想うのか、ずっとふしぎだった。だが、「台北暮色」と出逢って、すんなりわかった。すべてを了解した。わたしは「ここ」に還りたかったのだ。

賀来タクト 映画評論家*ホアン・シーの公式インタビューを計3時間行った。

詩的なほどの象徴的な場面も生み出している。雨降りの現場でたまたま撮ったというホアン・ユエンが自転車で駆ける映像。何でもない水たまり、そこに浮かぶ水紋。いつまでも見ていられる。ジョニーを探す電話の一件もまるで我々自身の寓話のようだ。偶然が味方についたのか、必然の結果か。わからない。

暉峻創三 映画評論家

台北やそこに生息する者たちを時に突き放すような視線で批評的に照射したエドワード・ヤンと較べると、 ホアン・シーのこのデビュー作で際立つのは、既に高度経済成長期を終えてしまったこの街とそこで生きていくしかない若者たちに対する、愛と慈しみと叙情に満ちた視線だ。

梁邦彦 音楽家

台北という街の「今」を独自の感性で切り取った、女性監督ホァンシーの記念すべきデビュー作品。
路地、そこに集う若者たち、車事情、夕暮れ、そして雨や水たまり、そこを行き交う人々と雑踏。平素目の前にある台北の姿を独特の美しいタッチで描き、更に人と人、家族とのつながりを「暮色」に染めていく手法は自然でなめらか、そしてさりげない。
人と混じりえない少年、鳥と暮らす一人暮らしの女性、車生活の中年男。一見無秩序に見える3人の微妙な接点が織りなす展開は、台湾の次世代WAVEを感じさせてくれ、これから大いに期待が持たれる。台湾映画に興味を持つきっかけとしても、おすすめの快作。

TRAILER

30秒バージョン

2分バージョン

Nulbarich「Silent Wonderland」バージョン

THEATER

2019年5月4日(土)〜
【再上映】東京 ユーロスペース
2019年4月6日(土)〜
千葉 キネマ旬報シアター
2019年4月6日(土)・7日(日)
第33回 高崎映画祭
2019年4月13日(土)〜
大阪 シアターセブン
2019年5月4日(土)〜
神戸 元町映画館
上映終了
横浜シネマリン
上映終了
名古屋 シネマスコーレ
上映終了
京都 京都シネマ
上映終了
アップリンク吉祥寺
上映終了
大阪 シネ・ヌーヴォ
上映終了
長野 上田映劇
上映終了
宇都宮ヒカリ座
上映終了
京都 出町座
上映終了
福岡 KBCシネマ 1日限定上映

INTERVIEW

ホアン・シー

もし、みなさんが繰り返しご覧になられるなら、
この映画からいろんな新しいものを発見できるのではないでしょうか。

文 賀来タクト
写真 丸谷嘉長

――どのようにして生まれた企画だったのですか。

「私にとって特別なプロジェクトでした。一般的に脚本を作るときには、何か伝えたいメッセージがあり、そこから物語を作り上げていくと思います。しかし、今回はほかのいくつかのプロジェクトと並行してこの作品を製作していました。そのため、この作品はフリースタイル=体系化しない方法で創作しました。ある人に出会えばその人を描写して、という具合に、人物から作っていきました。」

――フォン(クー・ユールン)、シュー(リマ・ジタン)、リー(ホアン・ユエン)という主要登場人物3人の背景はどう組み立てられたのでしょうか。

「この3人は過去、私の暮らしの中に存在した人たちをモデルにしています。リアルな原型があったんです。彼らからキャラクターを借りて、そこからフィクションの部分、すなわち彼ら3人の背景や生活のディテールを加えていきました。みなさんも同じだと思いますが、ある知らない人と仕事を一緒にすると、その人の父母や姉妹のこと、生活の習慣はどんなものなのかを考えますね。そういう想像を膨らませることで役柄がリアルに合理的になっていきます。たとえば、クー・ユールンのフォンについては、いったいどこに住んでいるのかがわからないでしょう。いつもあのオンボロの車のところにしかいない。そうすると、観客はこの車の中で彼は生活しているのだと想像する。実は、私がわざとそうさせているんですね。クー・ユールンのフォンは最も詳細に役をつくり、最も多く調整をしました。でも、ほかのふたりにはそれほど多く調整はしていません。面白いですね。特にリマ・ジタンのシューについては“占いができるの?”と聞いた程度です。彼女自身とは宗教とタトゥーの2ヶ所を除いて後は全く一緒でした。タトゥーはなかったのですが、偶然にも彼女の体には事故で負った傷の痕がありました。いつも同じ電話がかかってくることについては、私の友人に実際に起きたことを取り入れています」

――台北を映画の舞台に選ばれた理由を教えてください。

「台北を選んだのは利便性からです。一本目の作品で予算にも限りがありましたから、まず自分に最も近い、目の前の都市で撮影しようと。自然に出てきた考えですね。でも、実は私も台北をそこまで熟知していませんでした。脚本作りの際にはいろいろな場所を歩いて“こんな場所もあるのか”と、多くの発見がありました。この映画の製作を通して、ゆっくりと台北という都市を知ることができましたね。とても興味深かったです。当初は、この人物たちが香港に存在したらどうなるか? ということも考えました。香港は台北の次に私が詳しい街でしたから。でも、最終的にはやはり台北を選びました」

――インコがとても重要な存在に感じられます。構想の段階では、ほかの動物のことを考えられたりしたのでしょうか。

「脚本を書いている段階ではいろいろ考えていました。でも、推敲を終えてからはインコ以外の動物に変えようとはしませんでしたね。リマ・ジタンが演じたシューという女性は、設定としてずっと台北に住んでいるわけではありません。どこか旅行者のような側面を持っていて、そういう人が台北に住んでいたとしても犬や猫を飼うはずないだろうと。でも、鳥ならあり得るかなと。台北には鳥専用のホテルみたいな施設もあるんです。旅行に出かけるときに飼い主が預けるのですが、値段もそんなに高くありません。現実的に考えても、女性は小動物を飼うことが多いですし、シューが鳥を飼っていることは自然なことだと思います」

――シンボリックな場面が多い映画でもあります。たとえば中盤、ホアン・ユエンが自転車で波紋を起こす水たまりの映像などは、いろんな意味を観客に投げかけているようです。

「撮影しているときは全く意識していなかったんです。実は、あの場面の撮影のとき、現場に突然雨が降ってきて撮影ができなくなってしまったんです。そうしたら、カメラマンのヤオ・ホンイーさんが“待っていても仕方がないから何かをやらせよう”と言い出して、私がホアン・ユエンに“あの辺の水たまりで遊んでくれる?”と。で、ホアン・ユエンが自転車を思うままに乗り回したんです。それを撮ったヤオさんは“これはあとでたぶん使えるよ”とおっしゃいましたが、実際そのとおりでした。編集時にはかなり意識してあの映像を使っています」

――シューの電話にかかってくる「ジョニーはどこ?」の声も、誰かが誰かを常に求めているということでは普遍的な象徴性があります。ジョニーという名前は日本でいうところの太郎と似たようなものですから。きっと僕らもジョニーを探しているひとりなんですね。

「そう考えてくださって嬉しいですし、そのとおりだと思います。ちなみに、撮影監督のヤオさんとは若い頃から互いに知っている同僚です。ホウ・シャオシェン監督の『黒衣の刺客』では第2カメラマンと助監督を務められていて、その頃から“私の作品でもよろしくお願いします”という話をしていました。今回は古くからの親しい仲間と一緒に作品を作ろうと思っていましたので、迷いなくヤオさんとご一緒しようと考えていました」

――台北で上映されたときのお客さんの反応はいかがでしたか。

「私としては、この映画の観客はきっと30代以上の、どちらかというと年齢の高い方だろうと思っていたんですが、実際は違いました。伝え聞くところでは、とても幅広い観客の方が来てくれたとのことで、若い学生さんも心が揺さぶられたというんです。台湾で上映後にティーチインが開かれたことがあるんですが、学生のみなさんは監督の私ですら気づかなかったことを指摘してくださったりもしました」

――製作総指揮に名を連ねているホウ・シャオシェン監督からは「現在の台北を描くことができたのはエドワード・ヤン以来だ」との賞讃の声が上がっています。エドワード・ヤン監督の「台北ストーリー」についてのご感想もいただければ幸いです。

「映画をつくるまで、私はエドワード・ヤン監督の『台北ストーリー』を見ていなかったんです。初めて見たのは『台北暮色』が公開された後でした。そこに描かれていたのは本当にリアルな台北で、人間関係や街の様子のディテールがすごく豊か。今観てもいろんなレイヤーがあって、すごく見応えがあります。ホウ・シャオシェン監督の言葉はすごく嬉しいです。私の作品を非常に高く評価してくださいまして。でも、よくよく考えると、確かにエドワード・ヤン監督以降、台北をしっかり撮ろうとする作品はあまりありませんでしたね」

ホアン・シー

――監督ご自身が台北の街でお好きな場所はどちらになりますか。

「映画の中でリマ・ジタンが歩いている横丁は大好きです。助監督の家がそこにあったんです。その家を見に行ったとき、古い台北の町並みが残っているところで、この道でなら撮れる、と。そこは地下鉄へ出る大通りの近道でもありました。私自身、何かプレッシャーを感じたとき、その横丁を歩いているととてもリラックスできたんです。数え切れないくらいに歩きましたし、周囲の人間にも“散策するならここがいい”と紹介しました。クルーからは“狭いし暗いし、くねくねしていて、ますますストレスを感じるようになった”と不評でしたけど(笑)。台北にはこういう小道がたくさんありますし、とても台北らしいと思っています。ちなみに、私がエドワード・ヤン監督の映画で好きなのは『台北ストーリー』と『恐怖分子』。ホウ・シャオシェン監督の作品は全部が好きです。そう言わなければいけませんよね(笑)」

――映画の製作に当たって、ホウ・シャオシェン監督から何か助言はありましたか。

「直接作品に対して何かアドバイスをくださったことはほとんどありません。台本を見ていただいた後、製作が可能になった後は自分たちで準備を始めました。監督は一度も現場にいらっしゃいませんでした。役者が決まったときには“この人に決まりました”と一度監督に会ってもらいましたけれど。その後、編集に入り、ひとつめのバージョンを見ていただいたときに「もう少し編集した方がいい」と言われ、2回目にOKをもらう、という具合で、終始このような感じでした。ホウ・シャオシェン監督とは幼い頃から家族の関係でずっと接してきましたから、とても深いところで影響を受けていると思います」

――映画監督になろうと考えたきっかけを教えてください。

「自分が映画と関連することをしたいということはずっとわかっていました。撮影を始めたのは中学のときで、そのときはDVで撮影をしています。それから大学で映画を専攻し、卒業後、台北に来ました。でも、台北に来てすぐに映画の仕事をしたわけではなく、まずは会社員になり、インターネットマーケティングの仕事などをしました。その後、ホウ・シャオシェン監督の会社に入ったんですが、当時は台湾の映像業界の状況がよくなく、映画ではなく広告の撮影などをしていましたね。その後、一度離職して、また会社員になり、『黒衣の刺客』のときにホウ・シャオシェン監督の会社に再び戻ってきました。20代の頃は、監督が現場で何をしているのか、全くわかりませんでしたね。『憂鬱な楽園』の撮影現場ではインターンとして入っていたんですけど、広告撮影のときも理解できていなかったんです。『黒衣の刺客』の現場でようやく、監督が何をしているかが少しわかりました。監督は役者に大きな余地を与え、現場の雰囲気を作り、そして芝居を作り上げていく。うまく形容することができないのですが、落ち着いて現場に向き合ったときに初めて、監督が何をしているかわかったんです」

――作品の英語と中国語の原題についてご説明をいただけますか。

「『Missing Johnny』(フィルメックス2017上映時の日本語訳は『ジョニーは行方不明』)という英語の原題は何の躊躇もなく決まりました。でも、映画製作の資金調達をする段になって中国語の題名も必要になったんです。それがなかなか思いつかなくて。ジョニー(強尼)は使うとして、プラス、何をつければいいのか。そのときは周りにスタッフもいなくて、自分で決めなければいけなかったんですよ。じゃあ、ジョニーは人間だから、もう一方は鳥の名前にしようと。それで凱克=インコをつけたんです。その点、今回、日本でつけてくださった『台北暮色』という題名は素晴らしいですね。なぜこれを最初に自分で思いつかなかったんだろうと後悔するくらいに。とてもいい題名をつけてくださいました。ありがとうございます」

――日本でお好きな映画監督は?

「宮崎駿さんと今敏さんの作品が好きです。宮崎さんは穏やかで、今敏さんはシャープです。おふたりとも、とても豊かな想像力を備えていらっしゃると思います」

――デビュー作を完成させたことで改めて映画の力を感じることはありましたか。

「私(のような若輩)が映画の力について話すのはちょっと恥ずかしいですね(笑)。私に語れるのかなって思ってしまいます。でも、そうですね、この映画から感じられるものについては、私と観客のみなさんでは大分、違うと思うんです。私は(映画の作り手として)素材を集めるところから完成まで、何度も何度も見返していますから。そうすると、途中で嫌になってしまうんです。“この映画、嫌い。恥ずかしい。穴を掘って隠れてしまいたい”って(笑)。でも、ときどき、この映画、好きだなって思うこともある。映画とインタラクティブに対話ができることがあるんです。もちろん、長編映画ですから何度も繰り返し見るようなものではないんですが、もしみなさんが繰り返しご覧になられるなら、この映画からいろんな新しいものを発見できるのではないでしょうか。私にとっては、それが映画の力だなって思っています」

ホアン・シー

GOODS

三宅唱×ホアン・シー対談も収録 映画プログラムが発売

11月24日より劇場公開がはじまる映画「台北暮色」。公開劇場ではさまざまなグッズが販売となる。「プログラム」では、注目の対談を掲載。映画「きみの鳥はうたえる」の三宅唱監督とホアン・シー監督の対談が実現。

三宅唱「ホアンさんの作品、拝見してとても美しい映画だと思いました。特に印象に残っているのは、夜の光。次に、昼 の光。そして最後に、夕暮れの光。そういう光の移り変わりの様子 が感じられるのが映画として豊かだと思いました」
ホアン・シー「私の日本映画に対する印象は一般的なもので、色のトー ンとしてはわりと軽やかで、白っぽく明るいというイメージがありま した。ところが、三宅監督がつくられた『きみの鳥はうたえる』はそれとは違って、とにかく濃厚で驚きました。最初から引き込まれて、 すぐに映画の中に入っていけました」

6000文字に及ぶ注目の対談をぜひ。ほかにも、「泳ぎすぎた夜」監督の五十嵐耕平、女優・小橋めぐみのレビュー。これまた6000文字に及ぶホアン・シー監督の独占インタビュー。台湾で行われたホウ・シャオシエンのインタビューなど盛りだくさんな内容。ほかにも、インコのデザインの「トートバッグ」、「ポストカードセット」などが発売となる。渋谷TSUTAYAのみで販売のビジュアルブック「TWILIGHT」(2,500円)も公開劇場では販売される。

11月10日、渋谷TSUTAYAにてビジュアルブックが発売!

ビジュアルブック表紙

「TWILIGHT 台北暮色ビジュアルブック」
11月10日発売
定価:2,500円(税込)
発行:A PEOPLE(エーピープル)株式会社
渋谷TSUTAYAにて独占販売(一部、公開劇場でも販売)

表紙は、水たまりを走る自転車。水面に浮かぶ波紋。美しく浮かぶ渦。光とゆらめき、それが、映画「台北暮色」全体を表す。そうした数々の映像を写真として伝える「TWILIGHT 台北暮色ビジュアルブック」が11月10日(土)より渋谷TSUTAYAにて独占発売される(一部、公開劇場でも販売)。ホウ・シャオシェン監督の後期作品でしばしばカメラを担ってきたヤオ・ホンイーが映し出す台北の街、自然、ひと。ホアン・シー監督の目を通して、我々に鮮烈に伝わってくる台北の姿、そのかたち。映画「台北暮色」だからできた、独自の企画がついに実現。アート・ディレクションは海外の風景・文化をとらえた雑誌「TRANSIT」などで知られるBOOTLEGが手がけている。観光写真ではなく、呼吸する写真。台北のいまを気鋭のデザイン事務所が描き出す。

LOCATION  ロケ地ガイド

MRT Guting Station / MRT古亭駅
(冒頭でシューとフォン、リーが降りる駅)

MRT松山新店線と中和新蘆線の駅。
台湾師範大学の最寄り駅。学生街。
学生、留学生が多いため、リーズナブルで美味しい各国のレストランが集まっている。
また周辺には日本家屋が多く残され、日本家屋をリノベーションした人気のレストランや文化施設もある。} 師大夜市、中正記念堂、康青龍エリア(永康街、青田街、龍泉街)も徒歩圏内。

Changqing Temple / 古亭長慶宮
(シューの鳥を探す場所)

MRT古亭駅2番出口から徒歩約3分。
古亭エリア開墾当時から長期に渡り、住民達の信仰の中心である。既に200年を超える歴史がある。
長慶宮の後方には樹齢250年を超えるガジュマルの樹があり、早期の長慶宮はこのガジュマルの傍に石を神様として祀ったもの(石頭公)だった。その後住民達の寄付や運動により、数度の改築を経て今日の姿になり、守られ続けている。

Bird Street (Heping West Road)
/ 台北鳥街(和平西路)
(フォンの歴史の先生(友人の父)がお茶を飲みに訪れる場所)

MRT龍山寺駅から徒歩約7分。
約200メートル続く道に様々な鳥や、鳥関連グッズを販売する店が並ぶ。
店頭では様々な種類の鳥を見ることができる。朝から夜まで鳥好きな地元の人が集う。
近くには台北一歴史のあるお寺の龍山寺や、占いストリートなどがある。下町の雰囲気が溢れるエリア。
龍山寺周辺には美味しい小吃(一品料理)のお店も多い。

Dahu Park / 大湖公園
(フォンが歯を磨くシーンで車を停めている場所が公園の横です)

MRT大湖公園駅からすぐ。台北中心地からMRTで40分~1時間程度。
大きさは13ヘクタール。(東京ドーム約3個分)
美しい湖と神秘的な中国式の橋【錦帯橋】が有名。
自然が多く、様々な種類の野鳥に触れることができる。
日中は静かで心地良く、また早朝や夕方、ライトアップされる夜もとても美しい。
地元の人達が散歩や運動をするために訪れる憩いの場所。

Zhongcui Bridge / 重翠橋
(リーが自転車に乗る場所/シューとフォンが走る歩道)

新北市の板橋区と三重区を繋ぐ橋。台64線と新北環河快速道路の一部。車両用道路の他に自転車、歩行者用道路もある。 橋の下には美しい大漢溪の景色が広がる。
シューとフォンが走った歩行者用道路へは橋の袂の江子翠河口景觀河濱公園から行くことができる。
リーが自転車に乗る場所も江子翠河口景觀河濱公園。

Zhongxiao Bridge / 忠孝橋

台北北部を流れる淡水河に架かる橋。
新北市の三重区と台北市大同区と萬華区を結ぶ。
台北駅に最も近い淡水河の橋であり、主要道路に繋がる台北の重要な道路の一つ。
歩行者用道路もあり、橋からは美しい淡水河を望むことができる。

Keelung Road underpass / 基隆路地下トンネル(住所:基隆路一段)
(シューとフォンが車で通るトンネル)

台北市信義区にある地下トンネル
台北101や誠品書店(信義店)、国父紀念館からも近い。
(木藤:基隆路地下トンネルは2本あり、撮影で使用されたのは狭いトンネルの方です)

Jinjiang Street (narrow lanes) / 晉江街路地
(シューが路地を歩く正面、寄りカットの撮影地)

古亭駅の近く。長慶宮附近。
多くの日本式家屋が残っている。(現在も一般の住宅として使用されている)
地域の方の生活感溢れる路地。

7-Eleven  No. 6, Lane 265, Dunhua South Road Section 2, Taipei セブンイレブン
(シューとフォンが話す場所)

敦化南路2段265巷6号
MRT信義安和駅から徒歩約15分/MRT六張犁駅 約 7分
セブンイレブンから10分強歩くと臨江街夜市がある。住宅地にあるため、地元の人で賑わっている、B級グルメの屋台が多い夜市。
また六張犁駅周辺はオシャレなカフェやレストランが近年増えてきたエリアでもある。

*MRT淡水信義線の奇岩駅(温泉地北投の近くの駅、住宅地)

*博愛路224巷2弄付近の路地。
シューの家ロケ地もこの付近。近くには植物園がある。