現在の台北を描いたのは、エドワード・ヤン以来だ。
─ ホウ・シャオシェン

台北暮色:台北映画祭で上映され、脚本賞を含む4つの賞を受賞。金馬奨では主演のリマ・ジタンが最優秀新人賞を受賞。第18回(2017年)東京フィルメックス コンペティション部門上映作品

2018年11月24日(土)より渋谷ユーロスペース
ほか全国順次公開
配給 A PEOPLE CINEMA

NEWS

<詳細&最新情報>
 

チケットぴあで前売り券発売中!


・11月24日(土)より、「横浜シネマリン」での公開が決定いたしました。

・平昌冬季五輪の開閉式の音楽監督を務めた音楽家、梁邦彦氏からのメッセージ

・トレーラー 2分バージョンと30秒バージョン 公開しました。

・10月31日(水)に渋谷のユーロライブにて公開記念イベントを開催します。詳しくは後日発表いたします。


エドワード・ヤンとの近親性を強く感じさせる。
鮮烈に表象される台湾新世代の感覚。

 現代台北の風景に徹底してこだわり、そこに生きる若者たちを現在形で描きだす。新鋭ホアン・シー監督の「台北暮色」は、ホウ・シャオシェンによってプロデュースされ、ホウ監督の後期作品でしばしばカメラを担ってきたヤオ・ホンイーが撮影監督を務めているとはいえ、その視野はむしろエドワード・ヤンとの近親性を強く感じさせる。「台北ストーリー」はもちろんのこと、電話というコミュニケーション手段の意外な活用がきっかけとなってドラマが発展していくさまは「恐怖分子」を思い出す人も多いだろう。
 ただ、台北やそこに生息する者たちを時に突き放すような視線で批評的に照射したエドワード・ヤンと較べると、ホアン・シーのこのデビュー作で際立つのは、既に高度経済成長期を終えてしまったこの街とそこで生きていくしかない若者たちに対する、愛と慈しみと叙情に満ちた視線だ。既に暮れてしまった存在への、その寄り添うような姿勢に、台湾新世代の感覚が鮮烈に表象されている。

暉峻創三(映画評論家)

INTRODUCTION

イントロダクション

侯孝賢ホウ・シャオシェン
×
楊德昌エドワード・ヤン
名匠ふたりを継ぐ<台湾NEXT BLOOD>
女性監督 黃熙 ホアン・シー 美しい第1作

ホウ・シャオシェンは言った。「台北の現在の姿を描けたのは、『台北ストーリー』のエドワード・ヤン以来だ」と。ホウ・シャオシェンの現場で映画を学んできた女性監督、ホアン・シーのデビュー作品。その映画遺伝子は、今回製作総指揮を務めたホウ・シャオシェン譲り。その一方で、「カップルズ」のクー・ユールンが主演のひとりを務めるなど、エドワード・ヤンとの繋がりも見える。我々はそこにホウ・シャオシェンの映像を見るが、ホウは「その資質は自分ではなく、ヤンに近い」と発言している。ホウ・シャオシェン×エドワード・ヤン。1980年代からの台湾映画を支えたふたりの遺伝子を継いだ、<台湾NEXT BLOOD>が生まれ出た。引き付けられる、目が離せないカットの数々。台北の街、路地、鉄道、道路、そこに降る雨、そこにある水たまり、その美しさ。そこに生きる人、家族、その強さ。もろくも孤独な魂たちが、美しく、強く結ばれるとき。

STORY

ストーリー

反射する暮色の街〈台北〉に、
いま、生きている。女と、男と、少年──

車で生活する中年の男。人と混じり合えない少年。「ジョニーはそこにいますか?」という間違い電話を何度も受ける独り暮らしの女。そんな3人が孤独の中、出逢い、また、新しい未来が見えてきたとき、彼女の思いがけない過去が明らかになっていく ──。台北の<暮色>。物語のクライマックス、そこに、何を見るのか ──。

STAFF

ホウ・シャオシェンとホアン・シー

「ホアン・シーの資質は自分よりも、エドワード・ヤンに近い。
私に照らせば、『台北暮色』は、彼女の『童年往時』だ」

ホウ・シャオシェン 侯孝賢

PRODUCER
ホウ・シャオシェン 侯孝賢

1947年、中国・広東省梅県に生まれ、翌年家族とともに台湾に移住。1972年に国立台湾芸術大学映画・演劇科を卒業後、映画界入り。1980年に「ステキな彼女」で監督デビュー。「川の流れに草は青々」(82)が批評家たちに絶賛され“台湾ニューウェーブ”の代表的存在に。「風櫃の少年」(83)、「冬冬の夏休み」(84)が2年連続でナント三大陸映画祭グランプリで「金の気球賞グランプリ」を受賞、世界に知られる存在となっていった。その後も「童年往時 時の流れ」(85)がベルリン国際映画祭で「国際批評家連盟賞」を、「恋恋風塵」(87)がナント三大陸映画祭最優秀撮影賞・編集賞を受賞。1989年「悲情城市」でヴェネチア国際映画祭「金獅子賞」を受賞という快挙を実現する。その後、「戯夢人生」(93)でカンヌ国際映画祭「審査員賞」を受賞。2015年「黒衣の刺客」でカンヌ国際映画祭「監督賞」受賞。

「台北は皆にとって身近すぎる存在ですから、撮るのはとても難しいと思います。以前にはエドワード・ヤン監督だけが成功していました。彼の『台北ストーリー』以来、これほどまでに台北の家庭を上手に描いた作品は見たことがありません。私に照らして考えれば、この作品は彼女にとっての『童年往事 時の流れ』であると思います」

フィルモグラフィ

ホアン・シー 黃熙

DIRECTOR
ホアン・シー 黃熙

1975年、台北市に生まれる。ニューヨーク大学在学中にホウ・シャオシェン監督の「憂鬱な楽園」にインターンとして参加。2001年に帰国後は宣伝広告業界で働き、ホウ・シャオシェンの「黒衣の刺客」、テレビ用の短編映画「House」の製作に関わった。「台北暮色」が監督デビュー作品となる。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンを継ぐ注目の女性監督。

「(ホウ・シャオシェンが)直接作品に対して何かアドバイスを下さったことは殆どありません。一つめのバージョンを見て頂いた時に「もう少し編集した方が良い」と言われ、2回目はOK、終始このような感じでした。しかし、私は幼い頃から家族の関係でずっと監督と接してきましたから、監督から受けた影響はこの作品のとても深いところにあると思います」

CAST

リマ・ジタン(シュー)
瑞瑪·席丹

1990年5月1日生。レバノン人の父と台湾人の母を持つ。レバノン出身、台湾育ち。幼い頃から様々な文化環境での生活経験がある。中国語、フランス語、英語など数ヵ国語が堪能。16歳でモデルとしてデビュー。MVやCM出演を経て、旅行番組のMCとして活躍。2015年金鐘奨「旅行番組司会者賞」にノミネートされる。「台北暮色」が初の長編映画出演。この映画での演技が高く評価され、台北映画祭及び金馬奨で「最優秀新人賞」を受賞。音楽創作活動も精力的に行っている。語学、トレーニング、スポーツ、旅行と様々な事に積極的に挑戦、自分らしく全力で取り組む姿をSNSで発信し多くのファンの支持を得ている。18歳の頃に深刻な事故を経験、心身ともに大きな傷を負ったが、常に自分らしく様々なことに積極的に挑戦し、人々に前向きなメッセージを発信し続けている。

「監督はデビュー作で、私も新人ですし、この組み合わせも面白いのではないかなと思いました。もし私の今回のお芝居が良いと思って下さったなら、役柄と自分が70%程度似ているためだと思います。ラッキーでした。1度だけできる芝居だったと思います」


クー・ユールン(フォン)
柯宇綸

1977年04月28日生。台湾出身 。幼い頃から映画監督であり俳優の父の影響で映画製作現場に触れ、子役として数々の作品にゲスト出演。14歳の時に「牯嶺街少年殺人事件」(エドワード・ヤン監督)で正式に長編映画出演。「カップルズ」(エドワード・ヤン監督)で初主演。
その後もベテランの著名監督、新進気鋭の実力派監督の作品に数多く出演。2011年「ジャンプ!アシン」、台北映画祭で「最優秀助演男優賞」を受賞、同年の金馬奨でノミネート。2015年「念念」、台北映画祭「最優秀男優賞」、金馬奨「最優秀助演男優賞」ノミネート。「台北暮色」では台北映画祭で「最優秀男優賞」にノミネート。どんな役でも見事に演じる。演技力が高く評価されている実力派俳優。

「ホアン・シー監督の撮影方法はホウ・シャオシェン監督、エドワード・ヤン監督に似ていると思います。私はとても好きです。3名の監督のスタイルは、役者に自信を持たせ、自然にカメラの前に立てるようにしてくれる、最も心地よい撮影方法です」

フィルモグラフィ


ホアン・ユエン(リー)
黄遠

1991年6月19日 生。台湾出身。幼い頃からダンス、音楽、芸術表現など様々なパフォーマンスを学ぶ。2010年「酷馬」(王小棣監督)で映画デビューにして主演し、注目を集める。同年に出演したドラマ「他們在畢業的前一天爆炸」で金鐘獎「ミニドラマ主演男優賞」を受賞。2014年「寒蟬效應」で上海電影節「新人部門 最優秀主演男優賞」を受賞。「台北暮色」では台北映画祭「最優秀助演男優賞」を受賞。台湾の注目の実力派若手俳優。

「ただ普通の台本とは違うと思いました。普通の台本にあるものがない。まるで監督が書いた詩や小説を読んでいるようでした。役と自分が似ているものがあるとしたら、孤独を感じているところでしょうか。自分の孤独を、役の彼の孤独として、表現しました」

LOCATION  ロケ地ガイド

MRT Guting Station / MRT古亭駅
(冒頭でシューとフォン、リーが降りる駅)

MRT松山新店線と中和新蘆線の駅。
台湾師範大学の最寄り駅。学生街。
学生、留学生が多いため、リーズナブルで美味しい各国のレストランが集まっている。
また周辺には日本家屋が多く残され、日本家屋をリノベーションした人気のレストランや文化施設もある。} 師大夜市、中正記念堂、康青龍エリア(永康街、青田街、龍泉街)も徒歩圏内。

Changqing Temple / 古亭長慶宮
(シューの鳥を探す場所)

MRT古亭駅2番出口から徒歩約3分。
古亭エリア開墾当時から長期に渡り、住民達の信仰の中心である。既に200年を超える歴史がある。
長慶宮の後方には樹齢250年を超えるガジュマルの樹があり、早期の長慶宮はこのガジュマルの傍に石を神様として祀ったもの(石頭公)だった。その後住民達の寄付や運動により、数度の改築を経て今日の姿になり、守られ続けている。

Bird Street (Heping West Road)
/ 台北鳥街(和平西路)
(フォンの歴史の先生(友人の父)がお茶を飲みに訪れる場所)

MRT龍山寺駅から徒歩約7分。
約200メートル続く道に様々な鳥や、鳥関連グッズを販売する店が並ぶ。
店頭では様々な種類の鳥を見ることができる。朝から夜まで鳥好きな地元の人が集う。
近くには台北一歴史のあるお寺の龍山寺や、占いストリートなどがある。下町の雰囲気が溢れるエリア。
龍山寺周辺には美味しい小吃(一品料理)のお店も多い。

Dahu Park / 大湖公園
(フォンが歯を磨くシーンで車を停めている場所が公園の横です)

MRT大湖公園駅からすぐ。台北中心地からMRTで40分~1時間程度。
大きさは13ヘクタール。(東京ドーム約3個分)
美しい湖と神秘的な中国式の橋【錦帯橋】が有名。
自然が多く、様々な種類の野鳥に触れることができる。
日中は静かで心地良く、また早朝や夕方、ライトアップされる夜もとても美しい。
地元の人達が散歩や運動をするために訪れる憩いの場所。

Zhongcui Bridge / 重翠橋
(リーが自転車に乗る場所/シューとフォンが走る歩道)

新北市の板橋区と三重区を繋ぐ橋。台64線と新北環河快速道路の一部。車両用道路の他に自転車、歩行者用道路もある。 橋の下には美しい大漢溪の景色が広がる。
シューとフォンが走った歩行者用道路へは橋の袂の江子翠河口景觀河濱公園から行くことができる。
リーが自転車に乗る場所も江子翠河口景觀河濱公園。

Zhongxiao Bridge / 忠孝橋

台北北部を流れる淡水河に架かる橋。
新北市の三重区と台北市大同区と萬華区を結ぶ。
台北駅に最も近い淡水河の橋であり、主要道路に繋がる台北の重要な道路の一つ。
歩行者用道路もあり、橋からは美しい淡水河を望むことができる。

Keelung Road underpass / 基隆路地下トンネル(住所:基隆路一段)
(シューとフォンが車で通るトンネル)

台北市信義区にある地下トンネル
台北101や誠品書店(信義店)、国府記念館からも近い。
(木藤:基隆路地下トンネルは2本あり、撮影で使用されたのは狭いトンネルの方です)

Jinjiang Street (narrow lanes) / 晉江街路地
(シューが路地を歩く正面、寄りカットの撮影地)

古亭駅の近く。長慶宮附近。
多くの日本式家屋が残っている。(現在も一般の住宅として使用されている)
地域の方の生活感溢れる路地。

7-Eleven  No. 6, Lane 265, Dunhua South Road Section 2, Taipei セブンイレブン
(シューとフォンが話す場所)

敦化南路2段265巷6号
MRT和平安和駅から徒歩約15分/MRT六張犁駅 約 7分
セブンイレブンから10分強歩くと臨江街夜市がある。住宅地にあるため、地元の人で賑わっている、B級グルメの屋台が多い夜市。
また六張犁駅周辺はオシャレなカフェやレストランが近年増えてきたエリアでもある。

*MRT淡水信義線の奇岩駅(温泉地北投の近くの駅、住宅地)

*博愛路224巷2弄付近の路地。
シューの家ロケ地もこの付近。近くには植物園がある。

COMMENTS

梁邦彦 音楽家

台北という街の「今」を独自の感性で切り取った、女性監督ホァンシーの記念すべきデビュー作品。
路地、そこに集う若者たち、車事情、夕暮れ、そして雨や水たまり、そこを行き交う人々と雑踏。平素目の前にある台北の姿を独特の美しいタッチで描き、更に人と人、家族とのつながりを「暮色」に染めていく手法は自然でなめらか、そしてさりげない。
人と混じりえない少年、鳥と暮らす一人暮らしの女性、車生活の中年男。一見無秩序に見える3人の微妙な接点が織りなす展開は、台湾の次世代WAVEを感じさせてくれ、これから大いに期待が持たれる。台湾映画に興味を持つきっかけとしても、おすすめの快作。


梁邦彦
2018年2月、平昌冬季五輪の開閉式の音楽監督を務めた、世界的音楽家。

TRAILER

30秒バージョン

2分バージョン

THEATER

2018.11.24(土)〜
渋谷ユーロスペース/横浜シネマリン