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PEOPLE / キム・ボラ
キム・ボラが語る「はちどり」の世界
第3回 韓国・独立映画の可能性

韓国の独立映画支援政策である“小規模・短編映画製作支援事業”は1998年にスタートした。途中、予算が削減されたり“独立・芸術映画製作支援事業”と名称を変えたりしながらも現在まで続いているこの制度は、過去にヤン・イクチュンの「息もできない」(2008)など優れた独立映画を生み出すことに貢献しており、この「はちどり」も例外ではない。日本の映画人たちが羨むこのような充実した支援制度がある一方で、撮影現場の労働環境改善も進んでいるため人件費などの部分で製作費が膨らみ、かつてのように“超”低予算で映画を撮ることが難しくなったという状況がある。本作も韓国映画振興委員会(KOFIC)を始めとするさまざまな支援を受け、約3億ウォンの製作費をかけて撮られたが、それでも十分だったわけではない。キム・ボラ監督がプロデューサーとしての役割も兼ねているのは、予算の問題に因るところが大きかった。

「私が製作にまで関わったのは単純に製作費節約のためでした(笑)。誰かと一緒に作業するとなると、そこでギャラが発生してしまうので、私がノーギャラで自ら走り回って作らなければならない状況だったんです。製作費の都合上、私がプロデューサーの仕事までせざるを得ないという必然的な選択でした。やらなければならないからやっただけで、とても大変だったことは確かです」

韓国独立映画の現状について、もう少し詳しく聞いてみた。

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「ほとんどの独立映画は、“独立映画製作費支援制度”の支援金を受けて作られています。メインとなる韓国映画振興委員会(KOFIC)、ソウル映像委員会(SFC)、城南文化財団という3つの団体があり、審査を通過した映画だけに支援金が出るのですが、そんなに高額の支援金が出るわけではないので、皆が苦労しながら作っています。それでも、アメリカには政府の支援制度自体がないですし、韓国という国がきちんと映画を支援してくれていることにとても感謝しています。独立映画の場合は特に、プリプロからポスプロまで段階ごとに国からの支援があります。「はちどり」の上映でドイツやロンドンの映画祭にも行きましたが、ある一定の基準を満たす海外の映画祭で上映される場合、そのうち1回は国が渡航費を負担してくれる支援もKOFICを通じて受けました。そういう支援があると海外の人に話したとき、とても驚かれたことがあります。また、支援制度以外の話ですが、一昨年あたりから、独立映画で女性監督作品がたくさん作られるようになってきました。そういう変化は励みにもなりますし、さらに勢いを増していけばいいなと思っています」

昨年9月には、イ・オクソプ監督の「なまず」、ハン・ガラム監督の「アワーボディ」が相次いで劇場公開されるなど、「はちどり」のヒットが女性監督ブームの立役者となったともいえる。