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ソン・ガンホとのツー・ショット

「映画監督になって20年。7本の作品を撮った。『パラサイト』もいつもと変わらず淡々と、いつもの気持ちで撮っていた。ただ、こんなことは起きたね。ソン・ガンホさんとすべての俳優のアンサンブルが見事で、この幸せなラインナップは生涯二度とやって来ないのではないかと思えるほどだった。それぞれのキャラクターに役者たちがぴったりハマっている。これ以上のキャスティングはない! その手応えは、自分の人生の中でも格別にハッピーなことだったよ」

「やはり映画において、いちばん大切なのはストーリーなのではないか」とポン・ジュノは断言する。だとするならば。『パラサイト』の「ある存在」によって急展開が起こることについて述べてもらおう。

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「パラサイト 半地下の家族」

「あの存在は、ストーリーの基本構造をがらりと完全に変えた。物語をアップグレードしたんだ。弱者同士の闘いは悲しい気持ちになるし、苦々しくもなる。ソン・ガンホにはこう要約して伝えた。『この映画はとてもシンプルです。あなたの役の視点から見ると、階段を上がっていこうとした男が階段を下りていく映画です』と」

映画は進化した。そして、これからも進化する。その宣言が『パラサイト』だと思う。映画の進化を信じているか? と問うと、深いため息と共に監督は小さく呟いた。

「映画の運命や未来についてはよくわからないよ。僕は自分の足元の火を消すことで精一杯なんだ。シナリオに因果関係がしっかりあるといいな。いいシナリオを書きたいんだ。7本の映画はすべて自分で脚本を書いた。自分なりにキャリアは積んだ。だが、依然として難しい。誰かが代わりに書いてくれないかな? まぁ、性格的に、他人に任せることができないから、抱え込んでしまうんだけどね。もう、ひたすら難しいよ。
映画の未来に対して、素敵な解答ができなくて『すみません』」

監督は「すみません」だけ、日本語で言った。

いや、「パラサイト 半地下の家族」こそが、映画の未来に対する素敵な解答であろう。

Written by:相田冬二


「パラサイト 半地下の家族」
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ/イ・ソンギュン/チョ・ヨジョン/チェ・ウシク
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TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中


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