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パク・ヘイル × シン・ミナ
「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」の軌跡 ④
パク・ヘイル「初恋のアルバム 人魚姫のいた島」

パク・ヘイルが郵便局員を演じる心温まるファンタジー・ドラマ。

郵便局に務める女性ナヨン(チョン・ドヨン)が昔の済州島へタイムスリップし、若い頃の父母の無垢な恋の芽生えを目撃するという物語。パク・ヘイルはその若い頃の父親ジングク役。若い頃の母親ヨンスンをチョン・ドヨンが二役で演じている。「人魚姫」とは、海女を生業にしている若き母親を指してのこと。
 パク・ヘイルは開巻から30分ほど後、郵便配達員として登場。自転車に乗って、颯爽と現れる。笑顔がさわやか。制服も似合っている。仕事さばきもテキパキ。笑うたびに歯が白く輝く。まさに好青年。これにヨンスンがぞっこん。
 幼さも感じなくはないが、年上女性に一途な愛を貫いた前作「初恋のアルバム」出演時に比べれば、ずっと大人っぽい。演出とはいえ、女性が憧れる存在としての「色男空気」が立派ににじんでいる。もっとも、彼に惚れる設定のチョン・ドヨン、実年齢としてはパク・ヘイルより4歳年上。この頃のパク・ヘイルは年長女優との相性、バランスがよかったのかもしれない。
 ジングクはやがて文盲のヨンスンに文字を教え始める。その姿も甲斐甲斐しく、自転車の荷台にヨンスンを乗せて走る場面がまたロマンティック。わずかに、どぶろくを呑んでだらしなく酔っ払う場面があるが、巧まずしてそれも「いい人」感を裏打ちする結果となっている。役名のジングク(チングク)も「情の深い人」の意。献身的な若き父親の有り様にピッタリすぎて滑稽なほどである。

文:賀来タクト


「初恋のアルバム 人魚姫のいた島」(2004)
監督:パク・フンシク
出演:チョン・ドヨン/パク・ヘイル/コ・ドゥシム/キム・ボングン

「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」公式サイト


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