記念すべき映画デビュー作。
人並み外れた「気」を持つ炎の転校生=チャン・ヒョクがワイヤーを使った大技格闘を見せる学園アクション。秘伝の書「師備忘録」をめぐる生徒同士の抗争を憂い、シン・ミナは剣道部の女主将として登場。チャン・ヒョクに学園の平和調停を依頼する次第。
学園のマドンナ的存在の美貌の持ち主ながら、学ランを着ている。そのギャップがまず、いい。竹刀を振る姿もサマになっており、どうにも男勝りという設定。あだ名も、ズバリ、「氷の宝石」。常に表情がキリリと硬い。しかし、シャワー室の場面ではチャン・ヒョクとラブコメ一歩手前の気分。ほのかにあどけない乙女笑顔を覗かせたりもする。
撮影は2000年8月31日に始まり、およそ1年後の2001年7月9日に終了。主にアクション描写のこだわりゆえに延びに延びた撮影とはいえ、シン・ミナは16歳から17歳までの高校時代真っ直中で、この映画の製作に付き合っていた勘定になる。テレビドラマ「美しき日々」は2001年3月14日に韓国で放映が始まっており、恐らく掛け持ち状態。激務を縫って、よくぞこの大バカ映画に最後まで付き合ってくれた。コミック調の大袈裟CG映像と強面男優のうなり声があふれる中、どこか幼さを残す彼女の美少女ぶりは、かけがえのない一服の清涼剤になっている。
その後の品性ある「大人の美女」の出発点を知る意味でも興味深い一作。
文:賀来タクト
「火山高」(2001)
監督:キム・テギュン
出演:チャン・ヒョク/キム・スロ/シン・ミナ/コン・ヒョジン/ピョン・ヒボン
[関連記事]
パク・ヘイル × シン・ミナ「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」の軌跡
パク・ヘイル 第1回「グエムル 漢江の怪物」
パク・ヘイル 第2回「殺人の追憶」
パク・ヘイル 第3回「菊花の香り 世界でいちばん愛されたひと」
パク・ヘイル 第4回「初恋のアルバム 人魚姫のいた島」
パク・ヘイル 第5回「モダンボーイ」
パク・ヘイル 第6回「10億」
パク・ヘイル 第7回「神弓 –KAMIYUMI-」
パク・ヘイル 第8回「天命の城」
シン・ミナ 第1回「火山高」
シン・ミナ 第2回「美しき日々」
シン・ミナ 第3回「甘い生活」
シン・ミナ 第4回「Sad Movie〈サッド・ムービー〉」
シン・ミナ 第5回「今、このままがいい」
シン・ミナ 第6回「10億」
シン・ミナ 第7回「キッチン ~3人のレシピ~」
シン・ミナ 第8回「アラン使徒伝(サトデン)」
A PEOPLE CINEMA第2弾「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」
レビュー「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」
「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」 A PEOPLE TALK LIVE
PEOPLE / イ・ジュンドン
PEOPLE / イ・ジュンドン ②
PEOPLE / チャン・リュル
チョン・ウンスク「慶州(キョンジュ)」映画紀行 第1回「慶州」という街
チョン・ウンスク「慶州(キョンジュ)」映画紀行 第2回「慶州」という映画
チョン・ウンスク「慶州(キョンジュ)」映画紀行 第3回 映画作家チャン・リュルが見た風景
チョン・ウンスク「慶州(キョンジュ)」映画紀行 第4回 慶州にロケした映画たち
「ホン・サンス、イ・チャンドン、そして、チャン・リュル」
TOJI AIDA 「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」死者は、夢を見るのか?
古家正亨特別寄稿