テレビドラマ・デビュー作。
音楽業界の重鎮の父を持つ娘、ミンジ役。兄役がイ・ビョンホン。
幼い頃、父親が昔惚れていた女性を強引に後妻に迎えており、その連れ子(リュ・シウォン)共々、父親を毛嫌っている。複雑な家庭環境のため、兄を溺愛し、甘えまくる。兄に言う。「結婚しないでね。私、寂しいもん」。
ドラマ開始当初は、典型的な金持ちのわがまま娘として登場。だいたい派手な衣裳。クラブで酔っ払い、踊り出す場面では、お立ち台の上で裸にならんという勢いでシャツを脱ごうとする。タバコも吸って、アバズレ感満載。止めに入ったヒロイン役のチェ・ジウにも平気で水をぶっかけて、大騒ぎ。父親に張り倒されると、ふてくされてベッドにもぐり、不満たらたら。
ナイーヴな側面も描かれないわけではない。絵が好きという設定などは、その後のキャラクターの成長に一役買う。
悪く言えば、主人公たちを脇で振り回すソープドラマの御用達のような立ち位置で、役としてはやや一本調子。だが、当時高校生のシン・ミナはこれを無理なく見せる。ギャーギャー騒いでいても、下品に陥ることはない。チェ・ジウの妹役で登場するイ・ジョンヒョン共々、いい塩梅で物語を引っかき回す。見立てはウザイが、同時に役者としてのブレない意志の強さも感じられて、逆に気持ちがいい。おかげで、イ・ビョンホン、チェ・ジウ、リュ・シウォンという3人兄弟の関係図がわかりやすく際立っていくという次第。
文:賀来タクト
「美しき日々」(TV/2001)
監督:イ・ジャンス
出演:イ・ビョンホン/チェ・ジウ/リュ・シウォン/イ・ジョンヒョン/シン・ミナ
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